脳梗塞後の麻痺側に出現しやすい痙縮リハビリについて

リハビリ

横浜市港北区新横浜地区にあります脳梗塞リハビリ専門 保険外サービス「Discovery style」施設長の阿部です。

今回、理学療法ジャーナルの7月号の特集に「脳卒中患者の上肢に対する理学療法 up to date」というテーマで、いろいろな切り口から脳梗塞後遺症者の方への上肢機能アプローチが紹介されていました。

前回は歩行機能における上肢機能の役割について、私が当施設のリハビリを通して経験したことを踏まえて、ご紹介させていただきました。

今回は、そのジャーナルの中から脳卒中後の麻痺側上肢の痙縮に対するボツリヌス治療について紹介されている記事がありましたので、私の臨床経験を踏まえ、上肢の痙縮に対するリハビリを考えてみたいと思います。

1.脳卒中後の痙縮の現状について

ジャーナルの中で、脳卒中後の運動麻痺は発症から3ヶ月以降で約55~75%に後遺するとしている。
その運動麻痺の回復限界の間接的な原因となる脳卒中後の痙縮について、脳卒中発症後3ヶ月以降で約42%に後遺すると報告されているとのことです。

これらの報告から、運動麻痺を呈した方のうち3人に2人が痙縮を後遺していると考えることができ、痙縮におけるリハビリは今後も必要不可欠になることが分かります。

痙縮は、一般的に運動量が増えてくる回復期以降で発生するイメージが強いですが、発症後48時間で10%、10日間で17%と発症早期よりすでに痙縮が発生していると報告されているとのことです。

そのため、欧米医療先進諸国では、ボツリヌス治療を脳卒中後リハビリの補完的治療と位置づけ、すでに一般化されている現状があります。

2.痙縮発生のメカニズム

脳卒中後の運動麻痺を呈した方の多くは、不動や学習性不使用となりやすいことを言われています。

この不動や学習性不使用になってしまうことをきっかけに、麻痺筋は短縮位に保持され、数時間の不動化で筋線維の変性が進行してしまいます。
そして、麻痺側の骨格筋は粘弾性が失われ、筋紡錘の興奮が高まるとされています。

さらにその状態が継続されることで筋紡錘は過敏となり、深部腱反射が亢進、痙縮へと移行すると訳です。

この不動化および学習性不使用は、上位運動ニューロンの組織転換に影響し、大脳皮質運動野が萎縮する。

上位運動ニューロンの退行性変容と末梢における骨格筋変性が相まって、痙縮さらには拘縮に移行し、この不動化により生じる痙縮発生と増悪は運動麻痺回復の二次的な阻害因子とジャーナルでは紹介されていました。

上記の記事の内容を解釈すると、麻痺側上肢の運動を無視して、非麻痺側と言われる運動麻痺が出現していない側の上肢を中心とした生活を続けてしまうと、筋肉は硬くなり、筋線維が変性し、適した緊張状態を維持できなくなってしまいます。
一方、脳では麻痺側上肢の不使用により、麻痺側上肢からの刺激が入ってこなくなり、麻痺側上肢の運動に関わる脳の領域の萎縮をきたしてしまいます。

3.ボツリヌス治療

脳卒中治療ガイドライン2015によると、上下肢痙縮の治療において、ボツリヌス療法は「強く勧める(グレードA)」で紹介されています。
ボツリヌス治療は2010年10月に承認され、現在では脳卒中後痙縮の治療法として認知されつつあり、テレビのCMやインターネットでも、紹介されることが多くなってきています。

しかし、近年、ボツリヌス治療は投与のみでは効果は一時的で、その後のリハビリが重要であることが認識されるようにもなってきています。

ボツリヌス治療において重要なことは、MASスコア(代表的な上肢痙縮重症度評価手法)を良い状態にして、いかに次の段階である随意的運動機能につなげるかであると言われています。
これに欠かせないのは、運動の再学習と大脳の可塑性の変化が期待できるリハビリとの併用だということです。

4.当施設として行えること

当施設では、実際にボツリヌス治療を行われたお客様が通われています。

そのお客様は、ボツリヌス治療を受けに医療機関を受診されており、一時は注射後のフォローアップの入院をしたことがあるとのことでしたが、現在は3カ月から4カ月の期間を空けて定期的に注射を打ちに行くとのことです。

上記にも記載させていただきましたが、注射後のリハビリをいかに工夫して行っていくのかが重要であると私も考えています。

理由は、筋緊張の調整だけでは、身体の使い方の変化は効率的に生み出せないということです、
毎日の私たちの習慣化された運動には、運動学習が不可欠です。
その自分の身体の見合った運動の方法を学習していく必要があると私は今までの臨床経験から感じています。

なので、当施設ではボツリヌス治療の効果をより引き出すために、試行錯誤しながら今までの臨床の経験を含めてリハビリの工夫を行っています。

今後も脳梗塞後遺症をお持ちの方の痙縮に対して必要なサポートができるようなサービス体制を作っていきたいです。

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