脳梗塞を経験された方の寝返り・起き上がり動作が円滑になるために。

リハビリ

横浜市港北区新横浜地区にあります、脳梗塞リハビリ専門「Discovery style」施設長の阿部です。

私はこの新横浜地区にあります脳梗塞リハビリ専門「Discovery style」をスタートさせ、脳梗塞を経験したお客様とリハビリを行ってきました。
その中で、立ち上がりや歩行は介助を要さず行える方が多いのですが、逆に寝返り起き上がり動作に難渋している方が多くいらっしゃるということを感じています。

例えば、リハビリ室のプラットホームのベッド上では動作が可能でも、リハビリ室より柔らかくて、狭い病室のベッドではできないという方は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?

当施設で上記のようなお話しを脳梗塞を経験されたお客様とする機会があり、いろいろお話しを伺っていると、上記のようなコメントの他にも、ベッド柵がないと寝返り起き上がりができないということや、麻痺側から起き上がる経験が少ないなど、多くのコメントをいただくことが出来ました。

上記のようなコメントを含めて、私なりにどうしたら寝返り起き上がりがどのような環境でも円滑にできるのか?について考えてみました。

1.寝返り・起き上がりは歩行より身体の使い方が難しい??

まず、なぜ立ち上がりや歩行ができるのに、寝返り起き上がりができないのかということに焦点を当ててみたいと思います。

立ち上がりや歩行は、重力に抗した姿勢を取り、重心を高い位置に保持しておく機能を基本しています。
簡単に表現すると、身体重心を前後、左右に動かすことが中心となります。

しかし、寝返り起き上がりは上記の機能がベースにありながらも、身体を回旋させること、また身体をまとめることが必要となると私は考えています。

身体を回旋させること、または身体をまとめることを達成させるためには、身体重心を重力に抗し、コントロールできることが背景にないとできないとされています。
要するに、立ち上がりや歩行に必要な構成要素がないと、動作を行うことが難しいということです。

しかし、立ち上がりや歩行は環境をうまく使用することで、課題を達成することができます。

立ち上がりであれば、立ち上がるための椅子の高さを高くする、手すりを引き込んで立ち上がるなど・・

歩行であれば、杖を使用する、装具を使用するなど・・・

上記の補助的な要素で課題を達成させることは、身辺機能を自立させるためには有益なものです。
しかし、寝返り起き上がりに、立ち上がりや歩行に必要な重力に抗した身体重心を保持できる機能が必要であるならば、補助的な要素をなくしても、立ち上がりや歩行が達成できるようにリハビリを展開しないといけません。そうしなければ、どのような環境でも寝返り起き上がりが行えないということです。

2.寝返りや起き上がりを行うために必要な運動の提案

ここで、新横浜地区にある当施設で脳梗塞を経験したお客様とリハビリを行わせていただき、その中で得られた円滑な寝返り起き上がり動作を行うための練習方法をご紹介させていただきます。

下記の写真は寝返り起き上がりのためのリハビリの一場面です。
ご協力いただいているお客様は、左片麻痺を後遺させています。

この場面で重要な要素は、非麻痺側上肢の状態と身体の柔軟性です。
脳梗塞を経験されると、身体の二分化が起こり、麻痺側が不使用状態となり、非麻痺側上下肢を過剰に使用してしまう傾向にあります。
また、環境に対してもそうです。立ち上がるために、非麻痺側上肢で過剰に手すりを引き込み、身体重心を支持基底面内に入れて立ち上がる。
歩行においては、特に4点杖を使用する場面が具体的ですが、麻痺側下肢を振り出すために非麻痺側に寄りかかるように身体を傾けることが多々あります。

上記のようなことが継続すると、非麻痺側は必要以上に屈曲方向に引き込みが強くなり、筋肉も重力方向に伸張されることが少なくなり、筋肉の長さが短縮されてしまいます。
パワーを発揮するためには、筋肉は長さを必要としますので、筋肉が短くなると、十分なパワーを発揮することが難しくなり、身体の使い方に変化が起こってしまいます。

お客様は非麻痺側に筋肉の短縮を持っていたため、側臥位で非麻痺側肩甲帯を十分に可動させる運動を行っています。

またこの写真でもう一つ重要な要素は身体を丸めることです。
寝返り起き上がりは背臥位という広い支持基底面から狭い支持基底面へ姿勢を変換していく難易度が高い課題です。

そのために必要なことは、身体重心を支持基底面に近づけることです。
要するに、身体を小さくまとめ、寝返り起き上がりを行うということです。

ご協力いただきたお客様は、非麻痺側の可動性に加え、自己の身体をまとめる柔軟性が乏しい状態でした。
どうしても、立ち上がりや、歩行ができることに集中するため、重力に抗した身体を伸展させる活動を多く経験する方達が多いので、このようなリハビリ場面を経験することがすくないような印象があります。

上記のリハビリを経験したことで、その後お客様は麻痺側から起き上がりを経験することが出来ました。

このリハビリ場面は、他の脳梗塞を経験されたお客様とリハビリを行う際に取り入れていますが、生活の中で非麻痺側を過剰に使用しているお客様は多く、有用な練習場面だと私は感じています。

3.まとめ

今回は、脳梗塞を経験された方々がどのように寝返りや起き上がりが円滑に行えるか?について、日々のリハビリ場面から考察させていただきました。
今後、今回挙げた要素を軸に、どの環境でも寝返り・起き上がり動作が行える身体の状態になれるように、お客様と一緒に取り組んでいきたいと考えています。

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