麻痺側上肢手の自主トレのためのヒントとなる考え方
横浜市港北区新横浜地区にあります、脳梗塞リハビリ専門 保険外サービス「Discovery style」施設長の阿部です。
脳梗塞リハビリにおいて運動主体感とは、「この行為を引き起しているのは自分だ」という感覚であり、リハビリにおける運動学習を行う上で、重要な要素であると言われています。
当施設では、脳梗塞後遺症により「麻痺側上肢手の機能をもっと良くしたい」というご希望を強く持っていらっしゃるお客様が多いです。
今回、運動主体感について、気になる研究を見つけました。
この研究内容と日々の脳梗塞リハビリの臨床(自主トレ)を照らし合わせて、ご紹介できたらと思います。
紹介されていた記事のURLは下記となります。
https://univ-journal.jp/26952/?fbclid=IwAR20dLrP2j_nyuakcNZ2AXeJzEcTEkq1dYPEd5J2gnLMfwoPIF-oto1ISSs
1.当施設の脳梗塞リハビリの現状
現在、私は保険外サービスの脳梗塞リハビリを始めさせていただき、約一年が経ちました。
保険外サービスである当施設をご利用いただいていますお客様の多くは、麻痺側上肢手に対するリハビリを継続してほしいというご希望があります。
しかし、保険外サービスは、365日、9単位(3時間)のリハビリが受けられる回復期リハビリテーション病院・病棟と比較すると、圧倒的にリハビリの量が少なくなります。
その中でも、病院の脳梗塞リハビリと異なる点は、ご自宅に戻り、今までしてきた生活の一部を実際に経験できることです。
病院では、退院時前の自宅訪問がありますが、ここでは動線確認や福祉用具の選定や検討などが主となり、実際に生活の多くのことが行えるのは、退院後となる方が多いと思います。
当施設をご利用いただいているお客様は、回復期リハビリテーション病院から退院されたお客様もいらっしゃり、上記の内容のお話しを実際にしていただいたこともあります。
そこで、この実際の生活を経験できることで、具体的に今の自分自身には何が必要なのかを考える時間となることが多いと、私は考えています。
実際に脳梗塞後遺症をお持ちの方で、麻痺側上肢手のための「手の動きコース」をご利用しているお客様と、1セッション終わった次ののリハビリの際に、ご自宅でのご様子を伺うと、いくつも生活状況を教えていただけ、その中で出来たこと、困っていることを共有できる場面が多々あります。
私は、脳梗塞リハビリを実施している時間はとても重要な時間であると思う同時に、ご自宅で行う生活動作を行っている時間も、退院後のリハビリには重要であると感じています。
当施設では、当日行ったリハビリの中から、必要であり、お客様がご自宅で再現可能な運動を自主トレとして提案させていただいています。
「運動の再現」というのが重要で、私はこの運動の再現をどのように促していけばよいのか?
今も考え続けていますが、その課題に対してヒントとなる研究が紹介されていましたので、今回ここでもご紹介させていただきます。
2.運動主体感を感じる要因について
「この行為を引き起しているのは自分だ」という感覚を、「運動主体感」と言われ、自分の運動を自分自身が実現させていることの意識とも言える運動主体感は、リハビリを進める上で欠かせない要素とされています。
当施設では、当日行ったリハビリの内容から、ご自宅で行えるであろう再現性の高い運動を自主トレとして提案しています。
また提案の内容も、回数や動作手順ではなく、運動のポイントをいくつか提示し、お客様が理解しやすい言葉に置き換えています。
私の経験上、回数や動作手順に着目した自主トレだと、一体、今自分自身が行っている運動が正しいのか?という疑問を持ったまま、トレーニングを続けているという声を多く聞いたていましたので、自主トレの在り方を工夫しなければならないと思い、当施設では脳梗塞リハビリに上記のような取り組みをしています。
まさに運動主体感に沿った自主トレを行っていきたいと思っています。
しかし、これまで運動主体感は「この行為によってどのような感覚が引き起こされるか」という予測と、実際の感覚結果の一致によってもたらされると考えられてきました。
要するに、上記で説明した「運動のポイントをご自宅で再現できるような感覚の気づきを経験すること」が重要であると、私は解釈しています。
しかし今回、運動主体感が予測-結果の一致だけで構成されているわけではない可能性を実験的に示すことに成功したとのことです。
この研究から、今行っている考え方に加え、さらに運動主体感を高めるために工夫が必要だということです。
当施設では、今後もご自宅で行う自主トレの成果を上げるために必要な条件を、当施設ならではの方法で、より効果的にお客様に提案できるように試行錯誤をしていきたいと思っています。
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